コーダーへのWordPress外注時に固定ページの作り方を確認しておきたい理由
WordPressの実装を依頼する際に、固定ページの実装方法についてコーダーに確認することはありますか?作り方なんてみんな同じでは?と思われるかもしれませんが、WordPressの固定ページには複数の制作手法が存在し、コーダーによっても異なるのが現状です。
発注者の認識と実装者の選択がずれると、納品後に「管理画面から編集できない」「更新したら表示が崩れた」といったトラブルにつながりかねません。
この記事では、制作会社のディレクターやデザイナーが、外部のコーダーにWordPressの実装を外注する場面を念頭に、固定ページの作り方にはどのようなものがあるかと、作り方によって発生する違いについてまとめています。
そもそも固定ページの作り方にはどのような種類があるのか
WordPressの固定ページの作り方には大きく分けて以下の3つの方法があります。
- テンプレートファイルに記述する方法(a)
- 管理画面にHTMLを直接入力する方法(b)
- ブロックエディタで作成する方法(c)
細かく分けるともっと様々な手法がありますが、今回はこの3つをベースに解説していきます。
3つの手法の見分け方として最も簡単な方法は、納品時のWordPressの管理画面でのコンテンツの状態です。
過去に納品されたサイトの固定ページを開いて、コンテンツの中身を確認してみてください。管理画面のコンテンツ部分が真っ白であれば、テンプレートファイルに記述する方法(a)です。 管理画面のコンテンツ部分にHTMLが表示されていれば、管理画面にHTMLを直接入力する方法(b)です。 管理画面のコンテンツ部分がブロックエディタで表示されていれば、ブロックエディタで作成する方法(c)です。
このように、納品時の管理画面でのコンテンツの状態を確認することで、どのような作り方が採用されたのかを簡単に判断することができます。
なぜ固定ページには複数の作り方があるのか
WordPressはもともとブログツールとして開発されたソフトウェアです。その後、企業サイトやLPなど多様な用途に使われるようになり、実装の選択肢も増えていきました。
そして現在は「テーマによるカスタマイズ」と「管理画面からのコンテンツ編集」という2つの軸が共存しており、その組み合わせ方は様々です。この組み合わせこそが固定ページの作り方が複数存在する理由です。
また、実装を担当するコーダーのスキルセットや経験した時代によって、慣れている手法が異なることも理由の1つです。一概には言えませんが以下のようなイメージです。
- PHPに慣れたコーダー:テンプレートファイルに記述する方法(a)
- 手軽さを重視するコーダー:管理画面にHTMLを直接入力する方法(b)
- 最新のWordPress標準を重視するコーダー:ブロックエディタで作成する方法(c)
発注時に「どの方法で作るか」を確認しないと、コーダーが慣れた方法で実装してしまいます。結果として実装は完了したものの、クライアントが管理画面から編集できない、あるいは管理画面を編集したら表示が崩れた等のケースも起こりえます。
固定ページの作り方によって変わること
それでは固定ページの作り方によってどのような違いがあるのかを見ていきます。上記の3つの作り方を中心に比較してみます。
クライアントが管理画面で編集できる範囲が変わる
ここが最も大きな違いです。
ブロックエディタで作成する方法(c)では、管理画面から簡単に様々なコンテンツを編集することができます。特に管理画面とフロントの見た目が揃っている場合では、直感的に編集が可能です。
直感的ではないかもしれませんが、管理画面にHTMLを直接入力する方法(b)でも、一応テキストや画像を差し替えることは可能です。ただしこの場合、最低限のHTMLの知識が必要になるでしょう。
一方で、テンプレートファイルに記述する方法(a)では、管理画面から本文に該当するコンテンツの編集ができません。この場合はコーダーがPHP等のテンプレートファイルを編集し、サーバーにアップロードすることで更新が可能です。
表にまとめると次のようになります。
| 方法 | 管理画面から更新可能な範囲 | HTMLの知識 |
|---|---|---|
| テンプレートファイルに記述する方法(a) | なし | - |
| 管理画面にHTMLを直接入力する方法(b) | テキスト、画像等 | 必要 |
| ブロックエディタで作成する方法(c) | テキスト、画像、レイアウト等 | 不要 |
テンプレートファイルに記述する方法(a)でも、カスタムフィールドを使用すると管理画面に専用の入力欄を作り、特定のコンテンツを編集することが可能です。ただし、この場合は事前にカスタムフィールドを設定する必要があり、基本的に自由なレイアウトの変更には向いていません。
まとめると次の項目を事前に確認しておくと良いでしょう。
- 固定ページの内容も管理画面から編集できた方が良いのか
- 管理画面から更新したい範囲(レイアウト変更を含めるのか)
- 更新担当者にHTMLの知識があるのか
当然ながら「管理画面から更新可能な範囲」によって運用時のコストが大きく変わってきます。細かなテキストの変更でもコーダーに依頼するのか、あるいはクライアント(または自社)で完結できるようにするのかなども確認しておくと良いでしょう。
制作時の工数(納期や費用)が変わる
それでは制作時のコストではどのような違いがあるのでしょうか。
デザインデータにより異なり一概には比較できませんが、テンプレートファイルに記述する方法(a)では比較的少ない工数で構築が可能です。これはHTMLで組んだものをほぼそのままPHPで記述するだけで完結するためです。カスタムフィールドなどがあればその分工数は上乗せされます。
管理画面にHTMLを直接入力する方法(b)についても、(a)と同様にHTMLで組んだものをほぼそのまま管理画面に入力するだけで完結するため、少ない工数で構築が可能です。
一方でブロックエディタで作成する方法(c)では、ブロックの装飾やカスタムブロックの追加など、それなりの工数が必要になります。WordPressが用意しているコアのブロックだけで構築できれば良いですが、多くのケースでは独自のブロックを作成する必要があるでしょう。
ただし、ここで挙げているのは制作時の工数のみの比較です。ブロックエディタで作成する方法(c)は制作時の工数こそ多くなりますが、その分運用フェーズでの更新コストを抑えられるため、長期運用を前提とするサイトでは費用対効果が逆転することもあるでしょう。
工数についてまとめると次のようになります。
| 方法 | 制作時の工数 |
|---|---|
| テンプレートファイルに記述する方法(a) | 少ない |
| 管理画面にHTMLを直接入力する方法(b) | 少ない |
| ブロックエディタで作成する方法(c) | 多い |
まとめ
今回は発注者の視点から、固定ページの3つの作り方と、それによって変わるポイントを整理しました。要点は次の通りです。
- 固定ページの作り方は1つではなく、コーダーによって採用する手法が異なる
- 作り方によって、クライアントが管理画面から編集できる範囲が大きく変わる
- 作り方によって、制作時のコスト(工数・納期)と運用時のコスト(更新の手間)のバランスが変わる
事前にすり合わせをしないままコーダーに発注してしまうと、「納品後に管理画面から編集できないことが分かった」「クライアントが更新したらレイアウトが崩れた」といったトラブルにつながりかねません。
特に次の3点は、発注前にクライアントと確認しておくことをおすすめします。
- 固定ページのコンテンツも管理画面から更新したいか
- 更新したい範囲はどこか(テキスト・画像のみか、レイアウト変更まで含めるか)
- 更新作業を担う担当者にHTMLの知識があるか
固定ページの仕様は、納品後の運用フェーズに長く影響します。プロジェクトを気持ちよく進めるためにも、発注時のすり合わせを丁寧に行う必要があるでしょう。
なお、実装者側の視点については下記の記事で整理しています。コーダーがどのような考えで手法を選んでいるかの参考になれば幸いです。
